2006年7月12日 Blue Origin計画詳細が明らかとなる。

 

オンライン書籍購入ビジネスAmazon.comの成功により数千億円の資産を築いたJeff Bezos氏は、現在個人資産を投入してシアトルでサブオービタル宇宙船を開発するBlue Origin計画を推進しています。今回同プロジェクトがアメリカでの航空宇宙機の運行を取り締まるFAA (Federal Aviation Administration)に200ページに及ぶ技術資料を提出したことで、その計画の詳細がより明らかとなってきました。

アメリカ国防総省が90年代に開発してきたDC-XA(左)と宇宙観光船「New Shepherd」

(space.comより)

   
それによりますと:
  ●Blue Origin計画が開発する宇宙船は垂直離陸・垂直着陸型でNew Shepherdと呼ばれる。
  ●New Shepherdは90年代にアメリカ国防総省とNASAが開発を進め多大な成果をあげながらも、予算難で計画凍結されたDC-XA(デルタクリッパー)をモデルに開発されている。
  ●New Shepherdはテキサスの宇宙基地から垂直にロケットエンジンで打上げられ、高度38キロまで一気に加速される。その後、ロケットエンジンは停止するが宇宙船は加速の惰性で最終高度100キロまで到達する。
  ●帰還後の着陸としてはロケットエンジンを再度点火して軟着陸する方法とパラシュートによって着陸する方法の2つを検討中。打上から宇宙旅行を経て帰還するまでの総飛行時間は10分。
  ●宇宙船は大きくロケット推進部と3名の人間を載せるカプセルに分かれる。万が一、ロケット部分に故障が発生した場合、乗員カプセルはロケットから切り離され、安全な場所まで補助固体ロケットで速やかに離脱する。
   
また同プロジェクトの今後の開発予定としては:
  ●2006年:高度600メートルの低高度まで上昇する小型プロトタイプを開発、エンジン性能をテストする。
  ●2007年-2009年:プロトタイプの性能を着実に高め最終的に高度100キロのテスト宇宙飛行を行う。
  ●2010年:年52回(毎週一回)のペースで商業宇宙旅行ビジネスを開始する。
   

サブオービタル宇宙旅行はVirgin Galactic社Rocket Plane社、その他数社が2008年の商業宇宙ビジネス開始を目指して現在開発にしのぎを削っています。Blue Origin計画の予定はそれより数年遅れでその間にシェアを奪われる心配がある一方で、私は個人的に同計画の最大の売りはその打上時・安全性なのではないかと思っています。つまりVirgin Galactic社などの飛行機型宇宙船では万が一ロケットエンジンが故障した場合、最悪機体は完全に破壊され乗員は死亡するリスクがありますが、Blue Origin計画の緊急離脱システムではそのリスクを低くすることが出来ます。ただし帰還時には逆噴射装置、もしくはパラシュート展開装置の故障による地上激突のリスクがあるのでシステム全体としてどちらが安全か一概には言い切れませんが…

2010年代、どの打上方式が生き残っていくのか・すみわけされていくのかも大変興味深い点だと思います。

五月女